大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3097号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(判旨)

原判決が証拠として挙示引用している犯罪科学研究所技師M作成の鑑定書は裁判所又は裁判官によつて命ぜられた鑑定でないことは勿論刑訴法第二二三条による搜査機関の嘱託による鑑定でもなく、従つて刑訴法の認めている正式の鑑定ということはできないのであるから、その経過及び結果を記載した本件書面は同法第三二一条第一項第三号に該当する供述書と認めるのが相当である。そしてかかる供述書に証拠能力が認められるためには、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができず、且つその供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき、但しその供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限られていることは固よりであるところ、その「供述者が死亡、精神若しくは身体の故障所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができない」場合というのは必ずしも制限的に解すべきではなく法廷への喚問が不可能である場合を例示したものと解すべきであり、本件におけるMは極東軍犯罪搜査研究所の主席技師であり、かかる地位にある連合国占領軍要員がわが国の裁判所の召喚に応じて公判廷に出頭しないことは当裁判所管内における顕著な事実であるから、原審が同人を召喚するまでもなく法廷への喚問を不可能であるとしてこれが喚問取調をなさなかつたことは適当な措置として是認さるべきであり、且つ同人はその職務上の地位からも推認できるように麻藥の鑑定の專門家であり右の書面の記載を調べてみると、その末尾には同人の署名があり、その施行に係る麻藥検出法も合式の鑑定方法として肯認せらるべきものであり、しかのみならず右の書面は被告人が所持していた物件が麻藥たることの認定に不可欠のものであると認められるから、結局原審が弁護人の同意しないのにかかわらず本件書面を刑訴法第三二一条第一項第三号によりこれを採証したことは相当であり、これを非難する論旨は理由がない。

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